赤土の島

夏休みには個人的に「課題図書」を設定し、その読了を目指している。
その中の一つが、幸いにも著者から献本していただいた藤本文昭(2012)
真珠湾攻撃秘話 赤土の島 ~日本軍パイロットを助けた日系二世~」である。

怠惰な私はさきほどようやく読了したのだが、実に良質なドキュメンタリーを
観ているようであった。内容の構成も実に計算されているもので
(筆者はそれを意識せずやっていると思われるが・・・)、この先どうなるのか?と
不謹慎ないい方かもしれないが、ワクワクしながらページをめくっていた。

読了後、このドラマは広く世の中に知ってもらいたいと痛切に感じた。
敗戦記念日」前後の二時間ドラマの題材としては適切だと思うが、
文献もいわんや目撃証言も少ないため解釈に相当なブレがある
零戦から機銃を取り外して乱射し住民を威嚇したというのは、コアな
軍事マニアではない私も荒唐無稽であることがわかる)
ので、テレビ局サイドとしては扱いづらいかもしれないけれど・・・。

70年以上も前の電気もなかったハワイのニイハウ島に不時着した
日本軍戦闘機パイロットと日系人プランテーション労働者。
バリバリの軍国主義教育を受け「行きて捕虜の辱めを・・・」という精神が
内在化したパイロット。そして不時着した島で出会った日本語を話せる日系二世の男。
パイロットは不時着した飛行機から奪われた軍事機密書類を取り戻したいと
訴え、それを取り戻そうとするのだが・・・。

とにかく知ってほしいですね。ウィキペディアにも「ニイハア島事件」という
項目があるので、とりあえずはその記事を一読してほしい。それから
藤本氏の著書を読んでその違いを自分也に解釈してみるのも良いだろう。
残念なのは、アマゾンでは現在品切れ中とのことだ。

このような著書を著した藤本氏のエネルギーにはまったくもって脱帽である。
また、日本、アメリカのどちらにも偏らない軸で筆を進める姿勢に強く共感した。
しかし指摘すべき点は鋭く指摘する姿勢も持ち合わせている(私もあの増槽タンク
は?と思います。不時着時に火災の原因となりますものね。)。

諸兄につよくお薦めする良著である。