ミニエコー
引退間際になってはじめてその車両をじっくりと眺め、
その造形の美しさに気づくという事があります。
しました。どうして引退間際まで気づかなかったのかな?
もしかしたら、これはスケッチをしていないからかな?と思ったのです。
というのも昔、といっても私が小学生の頃ですから相当前のことですが、
写真を撮影して手元に残しておくという事が難しかった訳です。また
パソコンもプリンターもなかった時代ですから、年賀状とかも手書きなわけです。
そうすると私はよく電車の画を描いていたのですが、描く過程でどこにどの部品が
ついていて、とか意識しながら描く訳です。やはり自分の手で描く事によって
より対象をじっくり見つめる事ができるのではないか?とも思うのです。
IT機器の進化で楽になりましたが、脳みそのクロック数は上がっていないのですから、
やはり対象をじっくり眺めて描くという方法が一番なのかもしれませんね。
なんでこんな話をしているのかというと、たった1両で走るミニエコーって
かわいいな、と思ったのです。ワイパーも3つついているし。冬の朝に霜取り用に
パンタを二つあげている姿など逆にカッコいいな、と思ったのです。
さて猛烈に仕事をこなして金曜日の午後を空けて行ってきました。
社会人なんだからお金で時間を買ってあずさで行くべきか?とも思いましたが、
どうも心はまだ18なので(笑)18キップの鈍行で。
この列車、高尾始発なのですが次の相模湖で早速特急退避。
高尾の窮屈な配線から高尾で特急をやり過ごしてから発車できないという事情は
わかるのですが、発車して次の駅で待避というのは・・・。
スカ色の115系もそろそろ腰を据えて撮影しないと行けませんね。
車内はファンでいっぱいです。座席はうまっているのでつり革につかまりました。
これで小野まで行く計画でしたが、信濃川島手前に良さそうな場所を見つけたので
下車しました。塩嶺トンネル前、あずさやアルプスが通っていたころの名残で
ホームは長く、当時は交換可能駅でしたので架線施設も複線分のスペースが
ありますね。
さて、先ほどの辰野よりの場所に行こうかと思いましたが、ミニエコー通過まで
1時間以上ありますので、念のため小野側に行ってみよう歩き出した所、なんとなく
こっちがいいかな?と思ったので歩き続けました。実は今回の旅行は地図を持って
来ていないので、隣の小野駅まで何キロあるのかわからず少々不安でしたが、
まぁ何とかなるでしょう。以前EF64の辰野タンク列車を撮りに来た時に車で
通った事があるので、なんとなく記憶があるのでその記憶と勘が頼りです。
ミニエコーの廃止は地元の方にも良く知られているようで、歩いていると
「今日でおしまいですね、いい写真撮れましたか?」などと声をかけられましたので、
暫しお話したあと「小野駅まではまだ結構ありますか?」と聞くと「あるよぉ~!!」
あると知り、いざという時は集落ごとにあるであろう、このバスで小野に向えば良し
と考えましたが、次の懸念は日差し。春分も近いので冬ほどではありませんが、
太陽は刻々と高度を下げてきますので、山の陰に入ってしまう所は既に日陰になって
います。やはり順光で撮りたいですからね。そのような場所を歩いて探しました。
そんな感じでロケハンして見つけたのがこの場所。まずはすっきりした編成、
といっても1両ですが、その「編成」写真を撮りました。前々回の泉でもそうでしたが、
踏切が鳴動してから太陽がうす雲に隠れてしまい、急遽勘でISO250から400にあげて
撮ったものが以下の作品。ちょっとサイドの下の部分が飛んじゃってますよねぇ・・・。
さてここでモバイルルーターの電源を入れてみるとバリ3!!さっきはダメだったのに
ここでは大丈夫なようです。早速ネットの地図で確認すると結構小野駅に近いところ
でした。実はこの近くでお二人の方に「小野駅までどのくらいですか?」と聞いたところ
「もう少しですよ」「すぐですよ」とは言われていたのですが、時として地方の車を
移動の主体としている方の距離間隔は、徒歩の間隔とかけ離れたものである場合が
過去度々あったので、疑っていたのです。すみません。
さて太陽が沈むのが早いか、どうなる?と少し気をもみましたがなんとか間に合い
ました。通常の営業列車として最後の陽光の中を、勾配をモーター音を響かせて
上ってきました。
背景は陰となっている山ですが、陽が当たっているミニエコーだけが浮かび上がる格好で、
満足できる作品に仕上がりました。あれ?パンタこれは一個だけあげてありますが、
さっきの辰野行きは両方のパンタをあげていますよね?これってファンサービス?
小野駅前で発見したみさき食堂で早めの食事をし(つけ麺750円・美味でしたよ)、
18時03分の交換を撮ってから名古屋ベースに向おう算段しました。
ミニエコーのヘッドマークというか看板というか、これ電照式なんですよね。
それがなんともかわいらしくて、それを強調した作品を撮りたいなと思ったので、
一か八か流し撮りをしてみようと考えました。そして撮ったのが以下の作品。
レタッチで少しアンダーにして、電照式であることをわかりやすくしてみました。
そして後ろのマークを撮影していると、交換する115系がきました。ボディーが
115系のヘッドライトに照らされていますね。乗らなきゃ。さようなら、ミニエコー。
しかしこんな普通列車の愛称を電照式にしなくてもよかったでしょうが、
なんとなく改造設計者のこの列車への愛情を感じるようで大好きです。
この後は塩尻、中津川と乗り継いで名古屋ベースには22時過ぎに着くことが出来ました。